けり

けり
I
けり
(助動)
〔カ変動詞「く(来)」の連用形「き」または過去の助動詞「き」にラ変動詞「あり」が付いて一語化したもの〕
活用する語の連用形に付く。
(1)話し手が人から伝聞したことを回想して述べる。

「今は昔, 竹取の翁といふものあり〈けり〉/竹取」「坊のかたはらに大きなる榎の木のあり〈けれ〉ば, 人, 榎の木の僧正とぞいひ〈ける〉/徒然 45」

(2)過去にあった事実に気付いて, それを回想して述べる。

「和歌(ヤマトウタ), 主もまらうども他人(コトヒト)も言ひあへり〈けり〉/土左」

(3)ある事柄に初めて気が付いたことを詠嘆的に述べる。

「あさましう, 犬などもかかる心あるものなり〈けり〉と笑はせ給ふ/枕草子 9」「ふるさととなりにし奈良の都にも色はかはらず花は咲き〈けり〉/古今(春下)」

(4)その事が終わり, その結果が存在していることを述べる。 中世以降の用法。

「夜すでに明け〈けれ〉ばなぎさに赤旗少々ひらめいたり/平家 11」

(5)未然形「けら」は, 「けらず」「けらく」の形で上代にのみ用いられる。

「梅の花咲きたる園の青柳は縵(カズラ)にすべくなりに〈けら〉ずや/万葉 817」

〔過去の助動詞「き」が話し手の直接体験した過去の事実を回想するのに用いられるのに対し, 「けり」は伝承している過去の事実を回想するのに用いられる〕
II
けり
〔和歌や俳句に助動詞「けり」で終わるものが多いところから〕
結末。 決着。

「長い間の論争に~が付く」

~を付・ける
容易に決着のつかなかった物事を, なんらかの結論を出して終わりにする。

「紛争に~・ける」

III
けり【来り】
〔カ変動詞「く(来)」の連用形「き」に「あり」の付いた「きあり」の転〕
来ている。

「玉梓(タマズサ)の使ひの~・れば嬉しみと/万葉 3957」

IV
けり【着り・服り】
〔動詞「きる(着)」の連用形「き」に「あり」が付いた「きあり」の転〕
着ている。

「我が背子が~・る衣(キヌ)薄し佐保風は/万葉 979」

V
けり【計里・鳧】
チドリ目チドリ科の鳥。 全長約35センチメートル。 背面は灰褐色, 腹は白色で, 飛ぶと翼と尾に鮮やかな黒白の模様がでる。 擬傷が巧み。 アジア東北部に分布し, 日本では近畿以北の限られた地域で繁殖。 やまげり。

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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